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F市シリーズの銅版画を制作中ですが
2017年の第2作は童謡を絵にしてみました。

広島県の現在のF市の神辺が生んだ童謡詩人・葛原(くずはら)しげる
この葛原しげるの詩を紹介します

この詩は童謡(唱歌)にもなっていて
作詞:葛原しげる 作曲:室崎琴月となっています
この歌は
夕日(ぎんぎんぎらぎら夕日が沈む)

ぎんぎんぎらぎら 夕日が沈む
ぎんぎんぎらぎら 日が沈む
まっかっかっか 空の雲
みんなのお顔も まっかっか
ぎんぎんぎらぎら 日が沈む

ぎんぎんぎらぎら 夕日が沈む
ぎんぎんぎらぎら 日が沈む
カラスよ お日を追っかけて
真っ赤に染まって 舞って来い
ぎんぎんぎらぎら 日が沈む

こちらのHPで試聴できます



夕日のイメージを整理してみます

個人的に好きな瞬間は空の色を変えながら水平線に沈んでいく時間です
ハワイの太陽は時期(年末年始前後)によってはワイキキの正面に夕日が沈みます
おおくの観光客や地元のロコたちが沈む夕日を思い思いの人と見ています
余談になりますが、アロハタワーのエントランスに夕日が入ると、タワーがランタン状態にみえたりして、夕日がおりなす瞬間はドラマでもあります

さて前置きが長くなりましたが・・

テーマはサンセット(夕日)の情景です
F市の神辺平野は昔の田園風景とは異なっています
なので、田園風景を強調することは止めました

夕日とは素敵な人と見るサンセットの時間でしょう
なので、この絵を見る人によっては恋人、友達、夫婦、親子などにも見えるようにデフォルメした二人の人物を配置しました
この二人が夕日を見ているような、夕日を背にしているような、そんな中で空全体が赤く染まる情景です
グリーンフラッシュも意識しましたが、ここは普通に夕日を表現することにしました
また、夜の帳(とばり)が降りてくる情景にしました
街あかりが点く前の二人が夕日の中に染まっています
街の中に見えたり、思い出の景色にたたずんでいたりする二人に見えて欲しいと考えました

イメージ 2
↑腐食完了後 腐食深さは0.2~0.3㎜くらいかな・・
ディープエッチングにしました・・

イメージ 1
F市の夕日 銅版画 300Wx272H  制作 2017-02

銅版画の技法(3回刷り)としては
①全体の色版の部分は水溶性インク(染料)で発色を抑えて配置しました
②次に①の上にディープイエロー(油性凹用インク)で沈む夕日を置いて刷りました
③黒い線はリフトグランド(版の上に砂糖を乗せて描く技法)を用いて描き、腐食後の凹の部分に黒インクを入れて刷りました
今回の版の厚みは0.5㎜と薄かったのでプレス圧は170kg/mm2まで上げてセットし印刷圧は230kg/mm2としました
印刷圧を上げすぎると油性インクに紙を奪われるためこの辺りで刷っています

最後に感想
詩(ポエム)を詩の持つ多くの情景や印象を一枚の絵にするにあたり、どう表現するかが問題でした
人によって見方(解釈)が異なるということに気が付いてから、デフォルメをうまく利用することにしました。

①二人、②街、③雲や帳(とばり)、④その他

今回は見る人によって思い出が蘇るようにしたつもりです・・・
詩を一枚の絵にするのは難しかったけれど、妄想40日・・・やっと出来ました・・

さて、タイトルですが
"ぎんぎんぎらぎら夕日が沈む″かとも思いましたが
葛原しげるの出身地は広島県安那郡八尋村(現:福山市神辺町八尋)であることから
"F市の夕日"とします
福山市とせずにF市とすることで、福岡でも福島でも福井でも府中市でもFで始まる場所を見る人にとっての思い出も場所でもあって欲しいと思っています

最後に長々と読んで頂きありがとうございました   <(_ _)>